【孫武(孫子)】 中国古代・春秋時代の軍事思想家。 |
『孫子の兵法』は、約2500年前に書かれた世界最古の兵法書です。
ビジネスなどにも活用できることから現代でも愛読されています。
その事実だけでも読む価値がありますが、僕は自らの「トレード手法」をより強固にするための教えとして活用しています。
項目タイトル(文字太字+破線の下線)と『 』(二重カギカッコ)は原文で、【 】と「→に続く文」は個人的解釈です。
投資と孫子『兵法』
【相場とは戦場である】
相場とは「売り方」と「買い方」が対峙する「戦場」です。
僕は、日々【軍師】の立場で戦場に向き合い、兵隊(お金)を操り、戦果を争っています。
具体的には、イカのようなテクニカル分析を日々行っています。
「戦局」—それぞれの陣地を知ります。
→「売り方有利」「買い方有利」の価格帯を把握します。
「戦況」—現在、どちらが有利なのかを知ります。
→上昇トレンドなのか、下落トレンドなのか、横這いなのか
「戦略」—どのように戦うべきなのかを判断します。
→トレード手法(W底、グランビルの法則等)のどれを使うか
「戦術」—どのように終わらせるかを判断します。
→どこで利益確定(勝利)、または損失確定(退却)をするか
この記事は『孫子の兵法』を学び、正しい戦い方を知ることで、トレードの戦果(収益)を更に挙げようという試みです。
『孫子の兵法』の概要
『五事』『七計』『詭道』の合計13篇からなります。
一.始計篇
孫子曰く、兵は国の大事なり・・・
この有名な書き出しから『孫子の兵法』は始まります。
『戦争とは、生きるか死ぬかの岐路であるから、徹底的に研究する必要がある』
此の五者(五事)は、将として聞かざるはなし
『五つ要素を体得した者は勝利し、体得しないものは敗北する』
『五つの自分側の要素(道・天・地・将・法)を検証し、七つの要素について自分と相手を比較すれば戦争の本質が理解できる』
【道=人道・家族の理解、天=景気循環、地=現状分析、将=自分自身(資産運用に関する智慧の有無)、法=投資手法】
→現状から未来を予測し、家族に「資産運用の必要性」を説いて、自分の投資方針と手法を理解してもらう必要があります。
【家族説得の例文】
人生100年と言われる時代です。
65歳で定年退職したとして、その後死ぬまで貰える年金は毎月○万円です。
不自由の無い老後生活を送るには、夫婦で月25万円必要と言われていますので、現状では月□万円不足します。
つまり、月□万円を資産運用により得なければなりません。
ですから、50年後も世界で稼ぎ続けるであろう複数の企業の株を購入し、月あたり□万円の配当金をもらうことで不足分を補います。
50年後も世界で稼ぎ続ける複数の企業は、株価自体も上昇するでしょうから、投資資金である分母自体も増えるので、分子(配当金)の加速度的な増加も期待できます。
手法として、定年まで毎月の給料から△万円(定額)を積立投資し、貰った配当金は再投資します。
毎月定額を「積立投資」するのは平均購入コストを下げるためであり、「配当再投資」は複利の恩恵を受けるために有効な手法だからです。
配当によって得られる金額が、想定以上に増えた場合は家族で旅行に行きましょう。
天とは、陰陽・寒暑・時制なり
→自然現象(自分ではどうすることもできないもの)ですので、景気循環と解釈します。
相場は、バブルや暴落を繰り返すので、その時々において自分がどのように対応すべきかを決めておくことが必要です。
例えば、自己資産を「株50%・現金50%」にすると決めれば、株が上昇すれば売って現金化し、株が暴落すれば買い増しして現金を減らすといった風に、三ヵ月に一度50%になるようにリバランスするといったことです。
兵とは、詭道なり
『戦いの本質は、敵を欺くことである』
孫子は、敵を「混乱させろ」「苛立たせろ」「驕らせろ」「奇襲しろ」と相手の精神面を揺さぶることが大切と説いています。
→つまり、冷静さを保つことが勝利の秘訣ということです。
算多きは勝ち、算少なきは勝たず
『多角的、かつ客観的に分析する者は勝ち、主観的な判断しかしないものは勝てない』
→テクニカルやファンダメンタルズ、経済・金融に関する知識と歴史、自らの経験などを多角的に分析し、かつ数字やデータといった客観的な要素で判断する者は勝ち、
「ニュース」や「誰々が言っている」という主観(自分の思い込み)で判断する人は勝てない(勝ち続けることは出来ない)。
※数字・データで判断することが勝利の秘訣です。
二.作戦篇
兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず
『戦いの目的は勝つことであり、長期化ではない』
→利食い千人力、つまり利益が乗っているなら、翌日に持ち越さずに確定しろということです。デイトレードに関する教えです。
三.謀攻篇
戦わずして兵を屈するのは、善の善なる者なり
→売買せずに(売却益ではなく)、お金(配当益)を得られることは最高です。
最高なのは「無配・減配とならない企業の株」です。
小敵の堅は大敵の擒(とりこ)なり
『劣勢であるならば戦線離脱しろ』
→個人投資家は【大きな資金(年金・日銀など)の売買に逆らうな】ということです。
勝を知るに五あり
『勝利するには五つの要件がある』
- 戦うべき時と戦わない時を知る(休むも相場)
- 重要任務(長期投資)と限定任務(デイトレ)の相互の運用法を知る
- 揺るぎない目的を定める(老後資金捻出)
- 用意周到な準備(日々の分析)
- 有能な将軍を擁する(高勝率のトレード手法)
故に曰く、彼を知り己を知らば、百戦危からず
『敵を知り、己を知れ。そうすれば、百度戦っても危険はない』
彼を知らず己を知らざれば、毎戦必ず危うし
『どちらも知らなければ、戦いは常に危険である』
四.軍形篇
勝つ可からざる者は守りなり
『負けない戦いをすれば最後に勝利する』
→まずはリスクを管理することが勝利の秘訣です。
相場から退場となるような大負けさえしなければ、経験から学べるので、最後には必ず勝ちます。
善く戦う者の勝つや、智名も無く勇功も無し
『奥義を極めた者が勝っても名声は得られない』
→勝つことが当たり前だと称賛は得られない、むしろ勝つことが話題となるようでは認められたとは言えない。
五.勢篇
渾々沌々、形、円なるも、敗る可からざるなり
→相場が暴落・混乱極めても、トレード手法が確立していれば負けることはありません。
善く戦う者は、之を勢に求めて、人に責(もと)めず
『有能な者は戦場の流れに勝機を求める』
『勢』とは、相場では【トレンド】です。
六.虚実篇
先に戦地に処りて、敵を待つ者はいつし、後れて戦地に拠りて、闘いに走る者は労す
『戦場を支配する要点を先に占領して敵を待つ者が有利となり、後れてくる者はすでに負けている』
→相場が開く前に【節目】を把握し、有利な売買ポイントを把握しておくべきです。寄り付いてからの値動きで売買判断しているようでは勝てません。
兵には常勢無く、水には常形無し
→相場は常に動いており、同じ流れ(トレンド)は存在しません。
五行に常勝無く、四時に常位無し 日に短長有り、月に死生有り
『季節によって日照時間が違ったり、月の満ち欠けがあるように、一つの戦法が絶対で、その有効性が永続することは無い』
→常にアップデートの可能性を探れということです。
七.軍争篇
疾きこと風の如く・・・
「風林火山」の有名な一節は、この項目に書かれています。
→【迅速】な判断で【堂々】と利益を【獲得】し【山積】せよ。
権を懸けて動く
『勝敗を天秤にかけて行動せよ』
→勝つ確率が高い時に勝負せよ。
八.九変篇
将、九変の地利に通ずる者は、兵を用うるを知る
相場の多様性と状況に応じて変化する要因を知っている人は、戦術を知っている人と言えます。
将に五危あり
【投資で勝てない人の五つの資質】
- 無計画
- 臆病
- 怒りっぽい
- 目立ちたがりで欲深い
- 優柔不断
九.行軍篇
鳥、起つ者は伏なり
『鳥が飛び立つのは伏兵がいることを示している』
この項目では『観察』することによって得られる事実の重要性について書かれています。
「兵士が武器を杖代わりにしている部隊は飢えている」
「水汲み係の兵士が自分から水を飲んでいるなら部隊は渇き苦しんでいる」など。
→相場では「出来高の急増」「PBR1倍割れ」など、観察することで気づく変化を知ることも重要です。
十.地形篇
兵を知る者は、動いて迷わず
『経験が豊富な者の行動には誤りが無い』
彼を知り己を知らば、勝、乃ち危うからず。天を知り地を知らば、勝、乃ち全うすべし
→相場を知り、自分自身を知れば危なげなく勝てます。それに景気循環と地合いを理解すれば完全勝利間違い無しです。
十一.九地篇
九地の変、屈伸の利、人情の理、察せざる可からざるなり
→多様な地合いに応じた戦術変化、集中と分散の利点、人間の行動原理について考察しなければなりません。
将軍の事は、静にして以て幽、正にして以て治む
『将軍が持つべき資質は「冷静であり、智慧を蔵し、自己を制御し、偏見の無い公明正大な判断力を持つこと」である』。
十二.火攻篇
利に非ざれば動かず、得るに非ざれば用いず、危うきに非ざれば戦わず
→利益を得られない、成果を得られないトレードを行ってはいけません。つまり「上がりそう、下がりそう」といった感情でのトレードを行っても反省も成長も出来ないので無意味ということです。
あくまでも売買判断は「数字」であるべきです。
十三.用間篇
スパイに関する項目です。
相場において「インサイダー取引」で罰せられます。
まとめ・感想
現実の戦争について書かれた書物ですので、実用性が凄いです。
そして「命のやり取りについて」がテーマですから真剣です。
相場では、命まで奪われないにしても、お金(生活)が懸かっていますから、こちらも真剣です。
ですから、軽い気持ちではなく、真剣に取り組まなければならないと改めて感じました。