相場で稼ぐためには、現状を把握し、未来を予測しなければなりません(当たるかどうかはともかく)。
そして、何かを理解するためには「観察し続けること」が大切です。
そうすれば「傾向(法則)」が見えてくるので、「対策」が取れるということです。
チャートを見続けることも重要ですが、経済指標の傾向を見れば予測精度が高まります。
【経済指標】を観察することで相場環境を把握する

悪ければ売りだ! vs 良ければ買いだ!
指標発表直後の売買について
発表直後にトレードすることは「売りだっ!」「買いだっ!」といった思惑が錯綜する戦場の最前線で戦うようなものです。
実際に上下に大きな値動きをすることも多々あります。
そのような戦法で毎回トレードして、果たして生き残ることが可能でしょうか?
経済指標への対応方法
もちろん、経済指標の速報を知ることに意味はあります。
ただ、重要なことは発表後にトレンドが生まれるかです。
経済指標を使って稼ぐ方法

先程のように最前線で向かい合う兵士たちではなく、高台で戦況を見つめる軍師をイメージします。
「目先」という言葉のイメージより、「俯瞰(=達観)」という言葉のイメージの方がいいですよね。
まず、
- 指標発表の数日前に「予想」が出回ります。
- 指標発表までに、その予想が株価に織り込まれていきます。
- 指標発表!
- →発表された実数値が、
- 「予想」よりも良ければ上昇、
- 「予想」よりも悪ければ下落、
となりやすいです。
ただ、良い数値が出た時も「好材料出尽くし」で天井を打つこともあり、逆に悪い数値が出た時も「悪材料出尽くし」で底を打つこともあります。
相場格言にある「期待で買って現実で売れ」はこれを言っています。

ですから、経済指標発表後、トレンドが出るのか、もしくは凪となるのかを見極める必要があります。
そもそも個人投資家が、その発表された数値を瞬時に把握して、その結果によって上がるか下がるかを自分で判断しても意味がありません。
自分の判断は関係なく、あくまでも市場参加者全員で行う多数決の結果が大事であり、そして自分は多数派に付くというのが正しいスタンスです。
主要経済指標一覧

ISM製造業景気指数
毎月第1営業日
ISM(供給管理協会)が製造業350社へアンケート調査。
アンケート内容は[新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫]の5項目に関して『1』『0.5』『0』の3択形式で回答(季節調整を加えて算出)。
GDP(国内総生産)成長の分岐点は「42.4%」としています。
ADP雇用者数
毎月第1水曜日
ADP社(給与計算代行サービス大手)のデータから算出。
全米の非農業部門雇用者数の予測をするために開発されました。
※2020年3月7日までのアメリカの新規失業保険申請件数は毎週20万人強でした。そして、アメリカでコロナウィルス感染者が出始めた3月8日~3月14日の週は28万人と前週の約1.4倍に増え、3月15日~3月21日の週は328万人と激増しました。そして、4月1日発表のADP雇用者数は2.7万人減(前月は17.9万人増)でした。このことから「発表前月の15日前後(3/15)」の数値を集計していると考えられます。
ISM非製造業景気指数
毎月第3営業日
ISM(供給管理協会)が非製造業375社へアンケート調査。
アンケート項目は[新規受注・雇用・入荷遅延・価格]など10項目に関して「+」「0」「-」の3択形式で回答(季節調整を加えて算出)。
水・木曜日に発表される場合、雇用統計の先行指標として注目。
雇用統計
毎月第1金曜日
重要視されるのは「非農業部門雇用者数」>「失業率」(失業者が仕事を探しを諦めたことで失業率が下がることもあるため)。
前月12日を含む週の雇用状況が調査されています。
ですから、この週の雇用状況を表す「新規失業保険申請件数(毎週木曜日21時30分発表)」が先行指標として特に注目されます。
米小売売上高
毎月第2週頃
小売業・サービス業の売上高を集計。
米国は個人消費がGDPの約7割を占めているため注目度が高い(特にコア部分が重要)。
消費者物価指数(CPI)
毎月中旬
米国内の物価の変動を表す。
前月比の傾向を見ることが重要。
※FRBの金融政策に影響を与える。
ミシガン大学消費者信頼感指数
速報値-毎月第2or3金曜日、確定値-最終金曜日
ミシガン大学のサーベイ・リサーチセンターによるアンケート調査。
1966年を100として指数化したもので「消費者マインド」を表す。
※FRBの金融政策に影響を与える。
日銀短観
年四回(4・7・10・12月中旬)
製造業・非製造業(資本金2千万円以上)の中から、業種別・規模別に1万社以上を抽出し、アンケートを実施。
アンケート内容は以下の通り。
[業況・国内外需給・在庫・雇用・資金繰り]など13項目について、直近と先行き(3か月後)について「+」「0」「-」の3択形式。
大企業製造業の数値(特に先行き)が重要。
※日銀が、金融政策を決定する上で参考にしている。
3~4週間前のデータ(だから「先行き」が重視)ですので、あまり重視していません。
FOMC(連邦公開市場委員会)
約6週間毎に開催
※FRB議長のみならず各理事の発言で相場が動くことも多々あります。
日銀金融政策決定会合
約6週間毎に開催
政策変更がなければ2日目の昼休みに発表される傾向があります。
「金融政策」と「財政政策」の両輪が、株価上昇エネルギーです。
米実質GDP
4半期毎に、速報値・改定値・確報値が発表
速報値は、4半期の翌月末(例:1-3月期GDPは4月末頃)。
GDP=名目GDP(財・サービスの付加価値の合計)-物価変動
個人消費、投資(住宅・設備・在庫)、政府支出、純輸出(輸出-輸入)で構成される。
国内全体の生産活動を把握することができ、注目度が高い。
なぜ米国の経済指標が大事なのか?

アメリカは基軸通貨であるドルと世界一の軍事力を持ち、原油生産量も世界一の覇権国家です。
「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く」と言われますように、過去に日本市場は何度も米国経済が原因で暴落しています。
まとめ
例えば、S&Pは世界人口に連動しますので「インデックス積立投資」をすれば資産は増えるように見えます。
しかし人口が増えれば物価は上昇し、通貨量も増加するので「インデックス積立投資」では、それほど儲かりません(そもそも「増える」と「儲かる」は違います)。
儲かる分は投資を行っていない労働者から搾取しています。よって投資人口が増えれば儲からないようになります。
「稼ぐ」ためには、相場の波に乗る必要があります。
そのために、経済指標を利用します。
その時々の相場テーマによって、注目される経済指標も変わります。
各経済指標のトレンド(傾向)を知ることで、相場の現状を把握し、自分のトレード方針に活かすことが大切なのです。
