- 「その指標は何を意味する?」
- 「指標の速報を知る方法は?」
- 「指標を使っての儲け方は?」
そこで、十数年相場を経験してきた僕が「個人投資家としての目線で」経済指標に対する、これらの疑問をスッキリ解消したいと思います。
経済指標は速報より集計期間が重要!正しい見方と稼ぎ方を解説

悪ければ売りだ! vs 良ければ買いだ!
指標の速報を知る方法
まず、指標の速報を知る方法についてですが、これをご希望の方は、上記写真のように、指標発表を「今か、今か」と臨戦態勢で待ち構えているということですよね。
一般的に、個人投資家が経済指標の結果を知るのは、証券会社のサイトやアプリで発信されるニュースが一般的です。
これだと最速でも発表から1、2分後となります。
ニュース配信の担当者が、結果を知り、キーボードで打って発信するという手間がありますので。
ただ「雇用統計」などのインパクトの大きな指標は、経済番組や証券会社が行う生の動画配信などで、ほぼ同時発表ということもあります。
むしろ、発表直後にトレードすることは「売りだっ!」「買いだっ!」といった思惑が錯綜する戦場の最前線で戦うようなものです。
実際に上下に大きな値動きをすることも多々あります。
そのような戦法で毎回トレードして、果たして生き残ることが可能でしょうか?
経済指標への対応方法
もちろん、経済指標の速報を知ることに意味はあります。
ただ、重要なことは経済指標の結果どうこうではなく、発表後に上昇トレンドが生まれるのか、下落トレンドが生まれるのか、もしくは横ばいとなるのかです。
経済指標を使って稼ぐ方法

そこで、ご提案なのですが、先程のように最前線で向かい合う兵士たちではなく、高台で戦況を見つめる軍師になりませんか?
「目先」という言葉のイメージより、「俯瞰(=達観)」という言葉のイメージの方がいいですよね。
私たち日本人は、DNAレベルで言葉の意味を理解しているのです。
それでは、どのように経済指標に対応するかをお話ししたいと思います。
まず、
- 指標発表の数日前に「予想」が出回ります。
- 指標発表までに、その予想が株価に織り込まれていきます。
- 指標発表!
- →発表された実数値が、
- 「予想」よりも良ければ上昇、
- 「予想」よりも悪ければ下落、
となりやすいです。
ただ、良い数値が出た時も「好材料出尽くし」で天井を打つこともあり、逆に悪い数値が出た時も「悪材料出尽くし」で底を打つこともあります。
相場格言にある「期待で買って現実で売れ」はこれを言っています。

ですから、経済指標発表後、トレンドが出るのか、もしくは凪となるのかを見極める必要があります。
そもそも個人投資家が、その発表された数値を瞬時に把握して、その結果によって上がるか下がるかを自分で判断しても意味がありません。
自分の判断は関係なく、あくまでも市場参加者全員で行う多数決の結果が大事であり、そして自分は多数派に付くというのが正しいスタンスです。
経済指標の「集計期間」がなぜ大事なのか?

経済指標を知る上で、一番重要なことは「集計期間」を知ることです。
月ごとに発表される指標は、早くとも2~4週間前のデータであるということを頭に置いておかなければなりません。
つまり、集計期間終了後から発表日までに「何か」あった場合は、あまり役に立たないと考えるべきであり、むしろ、それを逆手に取るような売買手法も存在します。
例えば、2020年3月に感染が拡大したコロナウィルスですが、4月頭に発表された「日銀短観」「ADP雇用者数」などは予想よりマシな数字でした。
世の中は混乱状態なのに指標は悪くなく「予想よりマシ」ということで一時的に株価が上昇するような動きも見られました。
ただ、これらの指標の集計期間はコロナウィルスの感染拡大前なのです。
ですから、結果的にその後大きく値を下げることになりました。
主要経済指標一覧

※( )内は日本時間です。
毎月第一営業日
米ISM製造業景気指数(23:00)
ISM(供給管理協会)が、全米の製造業350社にアンケートを行い発表。
50が好不況の分岐点とされ、景気の先行指標として注目されます。
アンケート内容は以下の通り。
[新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫]の5項目で、『1』『0.5』『0』の三択結果を点数化して(※季節調整を加え)算出されます。
注目すべきは、FRB(米連邦準備理事会)は50を下回っている場合は利上げをしたことがないということです(FXにイカせます)。
因みに、ISMは国内総生産(GDP)成長の分岐点は「42.4%」と発表しています(ではなぜ50が注目されてる? 成長は当たり前ってこと?w 頼もしい限りですね)。
毎月第一水曜日
米ADP雇用者数(21:15)
ADP社(給与計算代行サービス大手)のデータから算出。
全米の非農業部門雇用者数の予測をするために開発されたので、雇用統計の二営業日前に発表されます。
※2020年3月7日までのアメリカの新規失業保険申請件数は毎週20万人強でした。そして、アメリカでコロナウィルス感染者が出始めた3月8日~3月14日の週は28万人と前週の約1.4倍に増え、3月15日~3月21日の週は328万人と激増しました。
そして、4月1日発表のADP雇用者数は2.7万人減(前月は17.9万人増)でした。このことから「発表前月の15日前後(3/15)」の数値を集計していると考えられます。
毎月第三営業日
米ISM非製造業景気指数(23:00)
ISM(供給管理協会)が、全米の非製造業375社にアンケートを行い発表。
アンケート項目は[新規受注・雇用・入荷遅延・価格]など10項目で、「+」「0」「-」の三択結果を点数化して(※季節調整を加え)算出されます。
水・木曜日に発表される場合、雇用統計の先行指標として注目されます。
毎月第一金曜日
米雇用統計(21:30 冬22:30)
アメリカの雇用状況を調査した指標で、重要視されるのは「非農業部門雇用者数」>「失業率」(失業者が仕事を探しを諦めたことで失業率が下がることもあるため)。
前月12日を含む週の雇用状況が調査されているとのことです。
アメリカのGDPの約6~7割が個人消費と言われているので、労働者の数が最重要という訳です。
個人消費の指標もありますが、こちらが最重要とされているのは「収入があれば消費するのは当たり前」というアメリカの国民性を物語っている気がします。
毎月第二週頃
米小売売上高(21:30 冬22:30)
米国商務省経済分析局(BEA)が前月分を毎月第二週頃に発表。
小売業・サービス業の売上高を集計したもの。
米国は個人消費がGDPの約6~7割を占めているため注目度が高い(特にコア部分が重要)。
不定期発表
日銀短観(8:50)
年四回(4月初め・7月初め・10月初め・12月中旬)発表。
日銀が、金融政策を決定する上で参考にしているとのことです。
全国の製造業・非製造業(資本金2千万円以上)の中から、業種別・規模別に1万社以上を抽出し、アンケートを実施して発表。
アンケート内容は以下の通り。
[業況・国内外需給・在庫水準・雇用・資金繰り]など13項目について、直近と先行き(3か月後)について「+」「0」「-」のような感じの三択。
裾野が広くて影響力が大きいということで、大企業製造業の数値(特に先行き)が重要と見られています。
そもそも3~4週間前のデータ(だから「先行き」が重視)ですので、個人的にはあまり意識していません。
※注意点
20年4月1日発表分のアンケート〆切り日は3月11日でした。3月1日にアンケートを出している企業もあるということです。
ですから、コロナの影響は「直近」「先行き」のどちらにも織り込まれていないので、全く役に立たないです。
米FOMC(03:00 冬04:00)
連邦公開市場委員会。
年8回なので約6週間毎に開催されます。
「金融政策」と「財政政策」の両輪が、株価上昇エネルギーです。
※確実に寝ていますので、ほぼ意識したことがありません。
重要過ぎて、発表前までにほぼ株価に織り込まれていると考えています。
日銀金融政策決定会合
年8回なので約6週間毎に2日間開催されます。
2日目の午後に発表されます。
「金融政策」と「財政政策」の両輪が、株価上昇エネルギーです。
何も発表がなさそうな時は午前中はしっかり、午後から売られるといった傾向があります。
米実質GDP(21:30 冬22:30)
4半期毎に、速報値・改定値・確報値が発表される【速報値は、4半期の翌月末(例:1-3月期GDPは4月末頃)】。
GDP(国内総生産)=名目GDP(財・サービスの付加価値の合計)-物価変動
個人消費、投資(住宅・設備・在庫)、政府支出、純輸出(輸出-輸入)で構成される。
国内全体の生産活動を把握することができ、注目度が高い。
なぜ米国の経済指標が大事なのか?

アメリカは基軸通貨であるドル、また世界一の軍事力を持つ覇権国家です。資本主義経済の雄と言ってもいいでしょう。
「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く」と言われますように、過去に日本市場は、何度もアメリカが原因で暴落しています。
ここ数年は好景気(もしくは株高)ということもあって、これらの経済指標計への注目度はそれほど高くはなかったかもしれません。
ただ、景気の転換期には間違いなく注目され、発表直後に大きなトレンドが発生することも多々あります。
実際にリーマンショック直後などは食い入るようにパソコンの前に座っていたものです(そう考えると随分長いこと相場の世界にいますねw)。
まとめ
- まず、経済指標の「集計期間を知ること」で、その指標が発表時点で意味を持つかどうかを考えてください。
- そして、速報結果でトレードしたりせずに、その後のトレンド(上・下・横)を見極めてください。
- とにかくトレードには冷静な判断力が求められますので、値動きで売買しないように心掛けてください。
- 今後、重要だと思われる指標があれば、新たに追加していきますで、経済指標が発表される前には、このページの内容を思い出してください。
