日本人で「物言う株主」と言えば、この御方。
その村上氏が資金を提供して、高校生44名が8ヵ月間投資を行った。
村上氏が語った、お金の本質、投資家に求められる条件とは?
村上世彰、高校生に投資を教える。
著者の主張
投資を始めることは、お金について深く考えるキッカケになる。
投資の「本質」をよく理解して取り組めば、人生が豊かになる。
その会社が社会にどう役立つのか、という視点を持てば資産を増やすことに繋がる。
失敗をしなかった投資家はいないし、「怖さ」を知ることで人間としても成長しよう。
株式投資のメリット
勉強して世界の動きを知る中で「これからの世の中に役立つ」「将来のために成功して欲しい」という会社が見つかる。
その会社に投資することによって、金融面で支援できるし、本当に世の中の役に立てば、自分も世の中の役に立てる。
また、投資家は配当金や株主優待を受け取ることができるが、一番は株価が上昇するという形で資産を殖やすことが出来る。
このように投資というのは我々の生活と社会を精神的にも経済的にも豊かにしてくれる可能性を秘めている。
投資について、基本的な考え方を学び、経験を積んで判断力を養い、自分の頭で考えて投資する習慣が身に付けば、身の回りの出来事をヒントに大きなチャンスを掴むことも可能になる。
お金との付き合い方
お金が余っている所から足りない所へ融通する活動を「金融」といい、その役割を銀行や投資家が担っている。
そして、資金を融通した人は配当や金利などを受け取ることができ、お金を提供する側もされる側もメリットを享受できる。
金融という仕事は社会の動きをスムーズにし、活性化させるために重要な役割を果たしている。
「お金の必要性の四段階」を認識する
❶自立した生活を送るため
❷不測の事態に備えるため
❸夢や希望を実現するため
❹他人や社会のために使うため
実際に投資してみる
車を運転するのと同じように、自分の力量を知り、取ることのできるリスクをキチンと見極めて投資を行えば「怖さ」はある程度コントロールできる。
大切なお金を減らしてしまうというのは怖い経験。
失敗を受け入れること自体も大きな苦痛をもたらす。
けれども、「どうして損をしたのか」「どうすれば良かったのか」というように、その原因や対策を深く考えることで、損した金額以上に有益な経験が出来る。
投資に限らず「経験」から学ぶことが非常に大きい。
失敗を積み重ねることで、損失が出ても、その時にどうするべきかという判断を冷静にできるようになっていく。
これからの投資家に求められること
コーポレート・ガバナンスこそが日本経済の肝となる!
日本経済低迷の原因は「お金の循環の停滞」。
❶大企業の内部留保 ❷個人の預貯金(タンス預金を含む)
コーポレート・ガバナンスとは企業統治。
・企業において健全な経営が行われているか
・企業価値の最大化を目指す経営がなされているか
株主としては、できるだけ優秀で誠実な経営者に経営を託し、高い資本効率を実現して企業価値を高めてくれるかどうか、真剣に監視する必要がある。
これは、資本主義経済のキモである。
企業が稼いだお金は株主に還元されるべきものである。
「コーポレートガバナンス・コード」とは、
上場企業に対して
・株主との対話に努めること
・情報の透明性に努めること
・株主の権利を尊重すること
・企業価値の最大化に努めること
・経営者の保身のための買収防衛策の禁止
を求めるガイドラインである。
AI時代を生き抜くための投資と仕事のやり方
「ビジョン」と「ミッション」を持つことの大切さ。
人は好きなことに没頭している時に幸福を感じるし、好きなことに関して能力を伸ばしている時には、更に幸福感を感じるもの。
しかし、究極的に幸福を感じることが出来るのは、人のために何かをして役に立てた時、そして喜んでもらえた時。
究極の幸せは「ミッション」を追求して生きること。
ミッションとは「出来るかどうか分からないくらい難しいけれど、一生をかけてやり遂げたいこと」「他の誰かではなく自分がやらなくてはならないと思えるようなこと」である。
またミッションを成し遂げることで実現したい状態をビジョンという。
「世の中をお金がスムーズに循環して、経済も金融市場も活気に満ちて国の財政問題や社会保障の問題や少子高齢化から生じる様々な問題も解決し、皆が幸せに活動する社会を実現したい」というビジョンのために「一生をかけてコーポレート・ガバナンスを日本に浸透させる」ということを自分のミッションとして日々活動をしている。
まずは、自分の仕事を好きになる努力と工夫を重ねよう
大事なことは、自分が心から好きだと思えることを極めていくこと。
そして、自分にしかできない技術・ノウハウ・発想を磨いて、AIに取って代わられない、自分にしかできない仕事を見つけること。