2014年に出版された本ですが、この本をキッカケに「宗教」について学び直したくなりました。
池上サンは、ご自身で仏教徒だと述べられています。
ニュースを解説する時も主観を入れずに、あくまでも客観的に解説されるのは「中道」の精神が根底にあるようにも感じます。
おとなの教養
私たちはどこから来て、どこへ行くのか?
リベラルアーツ(自由に生きるための学問)の誕生
→教養を基に思考を展開しよう
❶宗教によって古代人は「世界の仕組み」を理解しようとした。
❷神が創った世界の仕組みを追求するため科学が生まれた。
❸宇宙から地球が生まれ、そして20万年前に人類が生まれた。
❹ウイルス感染を克服することで、人類は進化してきた。
❺人類は階層社会を形成し、経済活動(価値の交換)を始めた。
❻歴史は勝者が作った物語。事実に基づき、経済を内包する地政学を学ぶべき。
❼日本人である自分は何をすべきか?
宗教 唯一絶対の神はどこから生まれたのか?
古代人は自然現象を神の怒りと考え、畏敬の念から地域に相応しい宗教が誕生した。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は、苛酷な砂漠から生まれた一神教。
神道は、自然豊かな地域から生まれた多神教(八百万の神)。
仏教は、多くの生き物が死んでは生まれるという熱帯地域で生まれた。
そこから、「輪廻転生・解脱(涅槃に入る)」という発想が生まれた。
仏教では、神の存在は想定されていない。
宇宙 ヒッグス粒子が解き明かす私たちの起源
科学的な事実や法則は説得力があるので、政治哲学や経済学とも結び付いた。
このことは、中世のキリスト教社会を脱し、市民社会へと移行する起動力となった。
但し、「神の存在(宗教)」と「科学」は相反するものではない。
最新の宇宙論
◎1929米・ハッブル「宇宙膨張説」
→194*露・ガモフ「ビッグバン」
→196*英・ヒッグス「ヒッグス粒子」(2012発見)
無の状態から突然、膨張しビッグバンが起きた。
その後、粒子が固まり、原子核が生まれて原子ができた。
最初に生まれたのが最も軽い水素、次に軽いヘリウムが生まれ、水素とヘリウムが集まると核融合が起きた。
水素が燃え尽きると、今度はヘリウムが集まって炭素と酸素が生まれた。
ヘリウムが無くなると、炭素と酸素からネオン、マグネシウム、ケイ素、鉄など色々な元素が生まれた。
この元素が集まって高熱を発し、燃え尽きると超新星という形でまたそれが大爆発を起こした。
こうして、あらゆるものが宇宙に撒き散らされ、138億年前に誕生した太陽の周りを回っていた宇宙の塵やガスが集まって46億年前に地球が誕生した。
*私たちは、(神が起こした)ビッグバンによって誕生した。
人類の旅路-私たちは突然変異から生まれた
進化≠進歩。
生物は突然変異(親とは異なる形質が子に出現する)を繰り返している。
「放射性年代測定法」
物質は原子(原子核と電子)から出来ている。
原子核には陽子と中性子が入っている。
同じ元素でも中性子の数が違うものが存在し、これを「同位体」という。
炭素にも同位体があり、代表的なものに炭素12、炭素13、炭素14がある。
12というのは、陽子と中性子の数を足し合わせた数。
自然界に存在する炭素は、炭素12(98.9%)、炭素13(1.1%)、炭素14(極少)。
生物は呼吸する時に炭素14を吸収する。
炭素14は放射性物質なので5730年経つと半減する。
骨から炭素14の量を調べれば何年前に死んだのか判明する。
ネアンデルタール人は30万年前、ホモサピエンスは20万年前に誕生した(諸説有)。
地域によって肌の色が違う理由
メラニン色素は紫外線から体を守る。
紫外線が強い場所では黒人に、紫外線が弱い場所では白人に、その中間では黄色人種になった。
ビタミンD(予防効果)の必要量の半分は紫外線を浴びて作る。
また貧血を起こしやすい遺伝子を持つ人はマラリア(熱帯に生息)にかかりにくい。
*このように私たちは、進化し続けている。
人間と病気-世界を震撼させたウイルスの正体
がんの予防法は規則正しい生活をすること。
静かな暗い所で熟睡するとメラトニンがたくさん分泌される。
細菌は細胞膜を持っている。
細胞膜の中に核があって、そこに遺伝子が入っている。
生物は細胞を持ち、分裂して増えていく。
ウイルスは細胞膜が無い。
遺伝子がタンパク質で包まれているだけである。
ウイルスは分裂できないので他の生物の細胞に取り付きコピーして増殖する。
抗生物質の働きは、細菌の細胞壁(細胞膜の外側)を壊して殺すこと。
動物の細胞には細胞壁は無いので人体に影響はない。
抗生物質の服用は、細菌感染から身を守るためであってウイルスには効果が無い。
*病気に対する正しい知識が我が身を守る。
経済学-歴史を変えた四つの理論とは?(利他と利己の均衡を目指す)
❶近代経済学の父アダム・スミス『国富論(諸国民の富)』
「富とは、国民の労働で生産される必需品と便益品である」
→利己心による「分業」と自由放任による「見えざる手」で経済は回る。
➋カール・マルクス『資本論(労働価値説)』
資本家は、土地・建物・機械・原材料・労働力を購入して商品を作り、売り出す。
労働力は労働者から買う。
これが封建社会と資本主義社会の違い。
利益を増やすには「労働者の賃金を下げるか、同賃金で長時間働かせるか」しかない。
格差が生まれ、いずれ資本主義が終わり、社会主義になる(具体例は記述無く失敗へ)。
❸ケインズ「需要と供給のバランスが崩れた時に不景気になる」
利己心からレッドオーシャンに飛び込むから不景気になる。
新ビジネスを生み出せ。
政府による「財政均衡政策」(赤字OK)で「乗数効果」が生まれ、好景気になる。
→公共事業関連がレッドオーシャンとなり他業種へお金が回らなくなる。
*利己>利他の考えでは上手くいかない、利己と利他のバランスを取るべき。
❹フリードマン「新自由主義(勝ち組の論理)」
最低賃金制度・家賃統制など、政府の規制は出来る限り撤廃した方が経済は良くなる。
❺行動経済学
5000円と3000円の商品が並べられれば3000円が売れる。
10000円の商品を追加すれば、真ん中の5000円が売れる。
*時代の課題に応じて新しい理論が求められる。
歴史-過去は絶えず書き換えられる
キリスト教も天皇制も歴史の「勝ち組」である。
歴史とは常に勝者によって描かれてきた物語ではないのか?
出来事の論理や因果関係を学ぶことで、愚行を遠ざける必要がある。
*私たちが学んだ歴史は氷山の一角、それ以外にも知られざる歴史がある。
日本と日本人-いつ、どのようにして生まれたのか?
他者との関係から自分・自国を認識するようになる。
韓国・中国にお金を払ったが、反日教育を行っているせいで関係が改善しない。
*利害関係によって集団(国や土地による)意識・帰属意識・仲間意識は生まれる。
過去を見直すことによって学問は発展する。
それがリベラルアーツの価値である。