日本と周辺国との歴史を学べば、相手の言い分も理解できるようになります。
相手国に自国の意思を強要すると戦争に繋がります。
それを阻止するために妥協点を探るのが政治の役割です。
池上彰のまんがでわかる現代史 東アジア
【中華人民共和国】
第二次世界大戦後の内戦で、国民党に勝利した中国共産党によって1949年に建国。
中国共産党による一党独裁で、憲法には「中国共産党の領導に従う」と定められている。
中国の最高権力者は、中国共産党のトップである総書記が、国家主席(元首)を兼務。
月一回開催される中国共産党中央政治局に参加できる政治局委員25名が選出される。
年一回開催の党中央委員会に代表として出席する中央委員が選出される(2020年現在204人)。
五年毎に開催される共産党大会に地方代表者が集まり、要職に就く人材が選出される。
更に政治局委員の中から七人の政治局常務委員が選出される。
この七人が中国の最高指導部で、そのトップが総書記。
経済も教育も共産党が支配。
大企業の中には共産党の組織があって、共産党がイエスと言わなければ何も決まらない。
大学でも学長はお飾りで、共産党委員会の書記が実権を握る。
最も特徴的なのは軍隊。
中国の軍隊(人民解放軍)は、共産党の軍隊。
中国共産党が誕生したのは1921年。
ソ連の指導を受けたコミンテルン(世界共産党)の中国支部として発足。
その後、中華人民共和国という社会主義国家を建国したのが毛沢東。
社会主義とは、資本家による労働者からの搾取が無く、生産手段などを共有し、国家が経済を運営することで平等な社会を実現しようとする考え方。
因みに共産主義とは、社会主義を更に発展させて、一切の私有財産を否定し、貧富の差や争いが無く、その結果政府や国家までもがいらなくなった究極の平等社会を目指そうという考え方。
独裁的地位を確立した毛沢東は、一気に社会主義を実現しようと1958年「大躍進政策」を打ち出した。
結果、農産物の生産が急減し、3000万人以上が餓死して大失敗。
1966年「文化大革命」を唱え、学生を紅衛兵として利用し、腐敗した権力と宗教を弾圧した。
その結果、中国全土で紅衛兵同士による集団乱闘や殺害事件が起き、犠牲者の数は数十万から数千万人となった。
鄧小平は「改革開放政策」(経済の近代化)を提唱し、「社会主義市場経済」によって1980年代以降中国経済は加速度的に発展。
鄧小平の「先富論」によって格差が広がり、エリート層の学生が民主化を目指した。
これが「天安門事件」で、経済の自由化は掲げたが、政治面の自由化は断固として阻止された。
現在でも言論は統制され、インターネットも常に監視・検閲。
発展途上国から先進国への過渡期に経済成長のスピードが急激に落ちる「中進国の罠」。
労働力が不足し、労働者の給料が高騰し、経済が停滞しているにも関わらず、過剰な自信から傲慢な対外政策「一帯一路」を打ち出す。
【台湾】
日清戦争に勝利した日本は、1895年下関条約(日清講和条約)により遼東半島や台湾を清から割譲された。
台湾は日本にとって初めての植民地。
当時は欧州諸国や米国が世界中に植民地を獲得し、領土を拡大しようとしていた帝国主義の時代。
明治維新後ようやく世界に打って出たばかりの日本は、欧米先進国に負けまいと全力で台湾の近代化に取り組んだ。
1945年太平洋戦争に敗れた日本は台湾から撤退し、その後の台湾は中国国民党が統治した。
中国国民党は1919年に孫文が結成。
その8年前の1911年、孫文らは皇帝が支配する君主制の打倒と、民主国家の成立を目指して辛亥革命を起こした。
清は滅び、中華民国が誕生したのだが、その実権は北京を押さえた軍閥のリーダー袁世凱が握る。
そこで革命派は中国国民党に結集し、民主化運動を展開した。
一方、1921年中国共産党が誕生。
孫文の死後、蒋介石をリーダーとした国民党が一応、全国統一。
それに対して、共産党は毛沢東をリーダーに農村部で力をつけていった。
そんな中で勃発したのが日中戦争、第二次世界大戦。
戦後、ソ連から大量の武器を調達した共産党が、国民党を圧倒し、1949年1月敗れた国民党軍は台湾に逃げ込んだ。
そして、台湾に渡った国民党はそのまま中華民国を名乗り続けた。
1975年独裁政権を続けていた蒋介石総統が逝去。
1988年李登輝総統が誕生。
京都大学に学んだ経験もある親日家だったため、それまでの反日政策を改め、民主化を進めた。
李登輝は「中国からの台湾の独立を目指す」という方針に転換した。
【韓国】
韓国に行くと「日帝36年」という言葉をよく耳にする。
1910年の韓国併合から第二次世界大戦終結の1945年まで、日本の帝国主義に支配された36年の恨みを意味する言葉。
ロシアが攻めてくる前に朝鮮半島を押さえようと日本が進出。
それが日清戦争(1894~95)の遠因であり、日露戦争(1904~05)の直接的な原因。
更に日本の安全を確保するために朝鮮半島の北、ロシアとの国境に満州国という日本の傀儡政権を作ったことが太平洋戦争の背景となった。
太平洋戦争で日本が敗れたことにより朝鮮半島は解放された。
ところが、米ソ対立の元で北緯38度線によって南と北に分割されてしまった。
1948年8月大韓民国建国。
「上海にあった大韓民国臨時政府が抗日運動で日本と戦い、その正当な継承者として大韓民国が作られた」という建国神話。
そのため現在でも元徴用工問題、慰安婦問題、竹島問題などが存在し続けている。
【北朝鮮】
金日成の本名はキムソンジュ。
ソ連はこの男を伝説的将軍だとして凱旋帰国させた。
こうして1948年9月朝鮮民主主義人民共和国が誕生した。
金日成は軍事力で朝鮮半島を統一しようと考え、1950年6月25日朝鮮戦争勃発(1953年休戦協定)。
1968年青瓦台襲撃未遂事件(朴正煕大統領暗殺未遂)。
1983年ラングーン事件(全斗ファン大統領暗殺未遂)。
1987年大韓航空機爆破事件(五輪妨害)によって拉致問題が明らかになった。
【ロシア】
初代ピョートル大帝が即位した17世紀末から20世紀初頭まで、皇帝による専制国家・ロシア帝国が続いた。
1971年ロシア革命が起こり、ロシア帝国は滅亡。
各地の評議会(ソビエト)が作った共和国が集まって出来たのが世界初の社会主義国家、ソビエト社会主義共和国連邦である。
ソ連は15の共和国から構成されていたが、実質的にはロシア共和国が支配した。
第二次世界大戦は共に連合国として戦った米ソだが、戦争終結後は一転対立。
東西冷戦が始まった。
米ソ直接対決こそなかったが、朝鮮戦争やベトナム戦争が起こった。
冷戦が終結したのは1989年。
その背景にあったのは社会主義であるがゆえのソ連経済の停滞だった。
1991年共産党は崩壊し、ソ連は消滅し、15の共和国が全て独立した。
2000年プーチン大統領就任直後に、世界中で石油と天然ガスの価格が急騰し、国内経済が一気に立ち直った。